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アブソルート代々木上原探偵事務所 「アメリカの友人」 第4回 Chapter 1-4

  • Posted by: 高田
  • 2013年7月20日 01:39

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Chapter1-4

「And you have something to say to him, right? Why could you say in Japanese? You gotta say what you gotta say. You know what I mean?(で、彼に何か言いたい事があるんじゃないの? 日本語で言えば良かったじゃない。言いたい事は言うべきなのよ。分かる?)」
 日本人男性は、ビックリして丸くなった目を美央に向けていたが、何かの勘が働いたのか、恐る恐るフランス人男性の方を振りかえると、頭を小さく下げて、「……サンキュー」と言った。フランス人男性も同様にビックリして立ちつくしていたが、「ハ、ハイ……」と同じように頭を下げた。
「That’s more like it. Are you sure, you don’t wanna complain about your smart-phone? Well, let me see… (そう、それでいいわ。本当にスマホの事で文句言わなくていいの? ちょっと失礼……)」
 そういうと、美央が日本人男性の手の中のスマホを覗き込む。
「It’s just a scratch. No harm done. Well, I think you can go now. (大したキズじゃないわ。心配ないわね。じゃあ、もう行っていいわよ)」
 美央が男性の前から退いて、道を譲った。
 日本人男性は、目をパチクリさせると、「サ、サンキュー」とひとこと言って美央に会釈をすると、急ぎ足で去って行った。
 フランス人男性が美央とケビンの前へやって来ると、
「Thank you. But you didn’t have to do that. He’s just shy, you know? (ありがとう。でもあそこまでしなくてもよかったんじゃないかな。彼はシャイなだけなんだから)」
 と、フランス人男性が美央に向かって言った。
「Excuse me, but do I look American to you? (あら、私、あなたにはアメリカ人にでも見えるのかしら?)」
 美央がフランス人男性を見ると、挑むように腰に手を当てた。
「…Well, more like Japanese… (いや、どちらかというと日本人かな……)」
「Thank you! If you get my point, you should leave now. OK? Bye-bye. (でしょ?これで私の言いたい事分かるわよね?じゃあ、バイバイ、さようならー)」
 美央はまだ何か言いたそうなフランス人に手を振って追い払うと、困った顔をしながら横に立っている恋人を見上げた。
「Sorry about that. Shall we? (お待たせ。じゃあ、入りましょう)」
 美央はケビンの返事を待たずに店内へ入って行った。

「いらっしゃいませ!」
 店の奥にいた社長らしい恰幅の良い男性が、ケビンと美央を店内へ招き入れようと席から立った。にこやかにほほ笑みかけているが、店の外で起こっていた出来事には気づいているらしく、どことなく表情が硬い。
 フランス人男性の相手をしていた小太りの男性は、二人組の客と社長を交互に見ながら、当惑顔をし続けている。
「予定より早く来ちゃいましたね」
 小太りの男性、油井(あぶらい)の露骨な拒否反応を見て、社長が囁いた。
「今日は、さっきのフランス人だけって話したよね。俺、もう上がってもいいんですよね?」
 油井が背後に立つ社長に小声で話した。
「たしかこの人たち、日本語話せはずなんけど……、念のためにちょっと待ってもらえます?」
二人が店に入って来ると、油井が再び露骨に迷惑そうな顔をした。
それを見た美央の表情が硬くなる。ケビンの体にも緊張が走った。
 社長が接客用テーブルのイスを引きながら、
「さ、さ、こちらへお掛け下さい」
 と声をかけた。
 美央は社長を見ていない。目の前の油井に微笑みかけている。ふいに手を指し出すと、言った。
「Hi, nice to meet you. You must be the one to show us the rooms today, right? We have a whole day today, so we’re expecting to find something really good. And hopefully do the paper works too.(はじめまして。あなたが今日部屋を見せてくれる人ですよね。今日は一日空けてあるので、いい部屋を見つけられる事を期待しています。申し込みまでいけると嬉しいですわ)」
 油井は、苦笑いを浮かべながら美央の手を取った。油井の掌は汗をびっしょりとかいていたが、美央はそれを気にする素振りを全く見せない。
 どうやら、今日は英語でいく事に決めたらしい。ケビンは、美央に気づかれないように再び小さなため息をついた。

(Chapter2-1 へつづく)

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