店内で流れるBGMによって、そのお店の印象や雰囲気が影響されることは多いですよね。当社ではJ-POPが流れない理由について前回お話しましたが、ではどんな音楽が中心となって流れているのかというと、「居心地が悪くならない程度のソフトな音楽」というザックリとしたものです。
とは言うものの、音楽の趣味は人それぞれ千差万別です。ポップス、ソフトロック、ボサノバ、ジャズ、フュージョン、イージーリスニング、ヒーリングミュージック、ニューエイジなどなど、様々な音楽が流れています。さらには、ユーロポップス、テクノ、ダンス、レゲエ、カントリーなども網羅していますが、クラシック音楽だけは社内での評判がいまひとつだったので、現代風にアレンジされた物以外は基本的には除外されています。
音楽の種類があまりにも雑多すぎて、実際には明確な基準はありません。単なる個人的な好みと感覚のみで選んでいるというのが実情です。「大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、これで10年近くやってきているので、大丈夫だと信じたいです。
一番最初に「基準値」として流していたのは、ビリ-・ジョエル、ノラ・ジョーンズ、パット・メセニー・グループでした。その後は、あまり系統的に離れすぎないアーティストを増やしていき、手持ちのCDで足りなくなるとレンタルをしてiPod (Touch・nano)などに落として流すようになりました。そして、前回ご説明したとおり、現在はストリーミングが主流となり、Amazon Musicにお世話になるようになり、大変助かっています。
「エレベーター・ミュージック」という呼称があります。狭い箱の中で和やかな雰囲気を演出する「当たり障りのない」BGM群ですね。そんなカテゴリーに入れられることを良しとしないアーティストもいるかもしれませんが、ヒーリングミュージックのようなもので、狭い空間の中で見知らぬ他人が乗り合わせる緊張を和らげるのに有効です。
そんな「エレベーター・ミュージック」的な音楽を選んで流している事も多いのですが、では、「不動産会社に適した音楽」というのはどんな音楽なのでしょうか。
「エレベーター・ミュージック―BGMの歴史」という本がありまして、もし可能なら図書館などで借りて読んでみたいのですが、解説には「病院、デパート、レストラン――至る所でそれと知れず流れるBGM。特に心を癒し、購買欲をかきたて、食べる速さも操る、そんな有線のイージーリスニング、ムード音楽などの歴史的逸話を紹介し、人間・社会との相関を読み解く。モンド・ファン、音楽業界ほか、各業界人必読のユニークな音楽文化論」と書かれています。
甘い匂い食欲が刺激されるように、「新居にすぐに引っ越してしまいたくなる音楽」や「候補が多くて悩んでいる自分の背中を押してくれる音楽」などがあれば素晴らしいですよね。こちらの仕事の助けにもなります。
しかしながら、そんな都合の良い音楽は存在しないと思います。ただ、願わくばご来店されたお客様がリラックスできる音楽がかかっていれば、結果として会話も弾み、良い結果が生まれるかもしれないので、今後も音楽の力を借りるべく、広い視野でBGM探しに励みたいと思います。